気まぐれ日記 02年4月

02年3月の分はここ

4月2日(火)「ハチの恩返しはあるか・・・の風さん」
 帰宅して2階の寝室で着替えながらふと天井を見上げると、ゴキ・・・ではなく黒い大きなハチがへばりついていた。花アブやミツバチ、アシナガバチ、熊蜂とは違う。スズメバチほどの大きさで、やや細めで体色は黒だ。
 階下に降りてワイフに告げると、昼間窓を開けて布団を干したのだと言う。当地は平年を6度以上も上回る暖かさだったので、さぞかし布団干しには絶好だったのだろう。さらに、冬眠していたハチまでが目覚めてしまい、ふらふらっと屋内に入り込んできたわけだ。
「あなた。これでシューッとやってよ」ワイフはフマキラーやらゴキジェットを取り出して目を吊り上げる。しかし、動物愛護協会自主会長の私としては、首を縦に振るわけにはいかない。「いいじゃないか。そっとしておけば何もしないよ」「いやよ。そんな部屋で、私は寝られない」「だったら、下で寝ればいいじゃないか。ぼくは平気だ」「じゃ、そうする」ぷん。
 ご近所には毎年この季節になるとツバメがやってくる。迷惑なので、追い払う家もあるくらいだ。しかし、我が家へは来たためしがない。昔から、ツバメが巣を作るのは、家が繁盛している証拠、と言われたものだ。我が家は、きっと貧乏神にとりつかれているのだろう。ツバメがこないのなら、スズメバチが巣を作ったっていいじゃないか。
 就寝するまで何度も天井を見上げたが、終始同じ位置に同じ姿勢でへばりついたままだった。うちでは保護動物に認定していて、必ず外へ逃がしてやるクモのように、何とか逃がしてやれば、後で恩返しがあるかもしれないのに。
 
4月3日(水)「ウィルスかと思いきや・・・の風さん」
 起床と同時に、寝室の窓を開けた。昨夜のハチはあいかわらず同じ位置にいる。
 階下で顔を洗って戻ったら、姿が見えなくなった。わずかな間で、ハチも目覚めて出て行ったらしい。
「夕べからじっと動かなかったハチが急に見えなくなったよ」「本当に出て行ったのかしら」「きっと待ってましたとばかりに、喜んで出て行ったのさ」「そうかしら」「もしかして、仲間を連れて戻ってきたりして・・・」「やだ〜」
 今日は、平年を10度以上も上回る夏日となった。
 帰宅して、天井をつぶさに観察したが、どこにもハチはいなかった。やはり、今朝一番で逃げてくれたのだ。きっとハチの恩返しでいいことあるぞ。ふふ。
 メールチェックしたら、教授昇格を告げてきたoMoに、お祝いに銀座の夜をおごろう、と夕べ伝えたところ、早速反応があった。ところが、そのメールのタイトルを見た瞬間、ウィルスメールか、と一瞬鳥肌が立った。そのタイトルとは。

 
我期待驚喜乱舞大山鳴動飲歌大騒酒池肉林後野成山成

 まるで文字化けしたウィルスメールだぞ。何と読むかは推定可能と判断し、あえて解説しない。
 しかし、これは、日本のちゃんとした大学の、新進気鋭の教授の考えたメールタイトルである。

4月4日(木)「PTA引き継ぎ会・・・の風さん」
 ようやく少しずつ執筆にかかりだした。何とか没頭したい。
 今夜は地元の小学校でPTA委員の引き継ぎ会があるので、定時と同時に退社して直行した。何せ住居地と勤務先が遠いので、PTAや町内会の仕事はやりづらい。それで、いきおい、こういうことは奥様族の仕事となり、妻は地域に根をおろし、夫は根無し草となる、と。で、夫は定年退職すると、自らの存在価値を、あらためて見失うことになるのだ。ぞー。
 私は、広報部の部長に祭り上げられた。この原因は、昨年来、地元の新聞に何度か私が登場したからだ。小説家ならPTAの機関紙ぐらいお手の物、と思われたようだ。が、さにあらず。分からないことだらけだったので、質問事項をA4の紙3枚に整理して持参し、昨年の部長、副部長の指導を仰いだ。結果、昨年の部長も副部長も実に手際が良く、見事に仕事をこなしていたこと、さらに、顧問の先生がしっかりリードとサポートもしてくれたことが判明した。つまり、PTAらしく、親と教師の連携プレーが抜群であったのだ。私はすっかり感心してしまった。はたして、今年はどうなるか。できるだけ、昨年のやり方を踏襲して、また次年度に引き継ぎたいと思った。
 会が終了して、解散するとき、先生の1人だったような気がするが、「出ていましたね」と声をかけられた。そうなのである。また、今朝の地元紙に『和算忠臣蔵』と私の顔写真が出たのである。いちおう県内すべてに掲載されたらしく、やや時期はずれとは言え、これを見て2,3冊は売れるような気がした。

4月5日(金)「プレゼントは1年おくれ・・・の風さん」
 新聞を見た人は多かったようで、ワイフもあちこちから声をかけられたという。
 たまに知らない人からメールがくる。ウィルス添付メールの場合は、差出人を見て、知人なら教えて上げられるが、知らない人の方が多い。なぜ私のところへ送られてくるのか、首を傾げてしまう。でも、こちらからは何も連絡しない。これ以上かかわりたくないからだ。
 知らない差出人で添付ファイルがない場合は、少し警戒心が薄れる。でも、多少おっかなびっくりメールを開いて見る。今回のメールはうれしいメールだった。2001年2月10日の気まぐれ日記で紹介した『お母さんの変身宣言』(文研出版)という児童文学書の著者川越文子さんからだった。小学校高学年向きの本なのだが、次女から横取りして読んでみて、おとなでも十分楽しめるし感動できる、それだけしっかりとした作品だったから、私はここで熱っぽく語ったのだ。
 気まぐれ日記にたどりついた川越さんは、私のホームページもチェックし、さらに拙著も読んでくださったらしく、わざわざメールを送ってくださった。そして、近著となる詩集『ぼくの一歩ふしぎだね』(銀の鈴社)を、次女のために送ってくださるとのことだった。うれしかった。
 その詩集がさっそく今日届いたのである。
 本の体裁はタイトルといい表紙の絵といい、児童図書(童話)といった印象である。が、中身は詩集だった。
 表題にもなっている「ぼくの一歩」という詩から始まっている。どれも皆子供の視点で書かれている。とてもリズミカルな文体で、「ぼくの一歩」からは少年の足音が、「花火」という詩からは空に一瞬咲いて散る花火の炸裂音が聞こえてきそうだった。こうした日常や印象深いシーンを、鋭く切り取る手法というのは、短ければ詩になり、少し膨らませれば児童文学になるのかな、と思った。どの詩にも童話のタネが芽を出しかけている。
 表紙を除いて、挿入されている絵は、どれも控えめで、谷内六郎のような郷愁を漂わせている。本文中の絵はカラーでも見たい気がした。
 興味をもった方は、『お母さんの変身宣言』を一度読んでみてほしい。

4月6日(土)「『和算忠臣蔵』もテープができそう・・・の風さん」
 出版から3ヶ月以上も経過して新聞記事が出るのは不思議だが、視覚障害者のためのテープ作成依頼が届くのは決して不思議ではない。書評家の目にとまるより、視覚障害者の関係者の目にとまるのははるかに遅くなる。想像するに、公共の施設に拙著が収められ、先ずボランティアの方が視覚障害者のために朗読するのではないだろうか。それを聞いた人が仲間に話し、他の視覚障害者の方たちがぜひ読みたい(実際は聞きたい)と主張して初めて、テープ録音が決まるのではないだろうか。
 『和算忠臣蔵』最初のテープ録音依頼があった。前作『算聖伝』は4ヶ所の施設から申し出があり、すべて快諾している。今回も快諾するつもりだ。
 作者である私はただの健常者である。決して読者として障害のある方を想定はしていない。だから、情景描写などは違和感があるのではないだろうか。
 情景描写といえば、ここでひとつ、鳴海風流「小説の書き方講座」をしてみよう。
 もし、「その日の空は青かった。・・・」といった客観描写で書き出した作品に出会ったら、鳴海風は「この作家アホじゃねえか」と叫んでしまう。鳴海風なら、主人公の視点で空を描写する。主人公が直面している場面、そのときの心理状態を描写するために、空を描写する。同じ青空でも、合格発表を見た直後の主人公が見上げる青空と、何十年ぶりかで故郷に帰ってきた主人公が見上げる青空と、海で死んだ親友の霊を弔うために船で沖へ出たときに見上げる空とでは、同じ青空でも違って見えるはずである。その主人公の目で(心でという方が正確か)とらえた空をいかに描写するかが大事なのだ。

 もしかすると、私の作品にはそういった心の目でとらえた情景が描写されているために、視覚障害者の方たちからも暖かく受け入れられているのかもしれない。だとすれば、私のしていることは意義あることなのかもしれない。

4月7日(日)「トレーニングに行けない風さんの巻」
 取り組み中の作品のある場面で、久しぶりに燃えた。なぜ今まで燃えなかったのだろう。きっと主人公との距離が遠くなっていたのに違いない。主人公を身近に感じていられる限り、小説を書き続けることができる。その主人公はどんなに偉大な人物であっても、生身の人間として、自らに重ねて感じられないと、小説は書けないものだ。
 調子が出ていると、面倒な資料調査にも力が入る。
 夕方、トレーニングに行く時間になり、着替え終わったところで、外はまだしっかり雨が降っていた。もう少し待てばやむだろうと、再び執筆に取り組んでいるうちに、タイムアップしてしまった。
 今夜は、寝る前に入念にストレッチすることにしよう。

4月8日(月)「ケータイのメモリダイヤル編集ソフトの巻」
 最近ケータイを買い替えた。これまでのが、画面が暗く、電池ももたないからである。今度のは、低温ポリシリコンTFTで、画素数も144×176ドットとかなり精細である。他にもすぐれた点がいくつかある。
 けっこうパワーアップしたので、パソコンでできるメモリダイヤル編集ソフトも新規に購入した。電話番号だけでなく、電子メールアドレスや住所なども編集できるものだ。とにかく超多忙(自分でどんどん忙しくしているので)の風さんなのでITツールは必携である。

4月9日(火)「速筆原稿が連日届く・・・の風さん」
 霧島那智の作品の解説を依頼されている。締め切りまであと1週間らしい。今日で3日連続、執筆途中の原稿がテキスト形式で送られてきた。昨日は2章分、今日は1章分である。時代小説でかなりの時代考証が含まれているにもかかわらず、どうやら1日に1〜2章書いているらしい。信じられないことである。執筆速度は明らかに私の10〜20倍は速い。恐らく膨大な資料を速読で読み、原稿は迷わずベタ打ちで、後から修正しているのだろうが、全体の構成がしっかりしているのだろうな。私は、企画・構成という部分もからきし駄目。なんというか、神がかりするのを待っているような書き方だもんな。芸術家ぶっているのかも。うーん。霧島那智を学ばねば。

4月10日(水)「紀香さんに励まされ・・・の風さん」
 書斎に入って振り返ると、壁にでっかい紀香ポスターが貼ってある。某旅行代理店で不要になったものをもらってきた。「ちょうだい」と言うと、「そう。息子さんがみえるんですよね?」「いいえ。自分用です」「?????(絶句)」。
 ええい。文句あるか。ところで、このポスター、言わずと知れた某有名航空会社の宣伝ポスターで、砂浜にうつ伏せになった紀香さんが、顔を上げてぼくを見ているポーズだ。小麦色の肌に光る汗。猫科の動物を思わせる大きな目がまぶいぜ。

4月11日(木)「エッセイが完成・・・の風さん」
 多忙でパニックである。その中で、「大衆文芸」用のエッセイを書き上げた。予定通り神田紅さんとの出会いをまとめた。明日から出張などでしばらく家をあける。15日に直接東京で手渡すことになる。どんなエッセイかは、後日、ここで公開しよう。
 解説用の原稿が停滞している。どうやら主要執筆者である瑞納美鳳さんがダウンしたらしい。100mを9秒8で駆け抜けたら息も切れますよ。ホント。焦らずゆっくり休んでまた頑張ってほしい。どうせ復活したらまた100mを9秒8で走るのでしょう。

4月12日(金)「やけに電話が鳴る・・・の風さん」
 出張で新幹線に乗り、夕べからの疲労でうつらうつらしていたら、やけにケータイが鳴る。
 最初のは、電話番号(03***なので東京かららしい)が表示されたのだが、当方のアドレスには登録されていないものだった。すぐコールバックするのは危険なので、またかかってくるかと待っていたが、その後(3日たっても)全然かかってこない。二つ目は出張先からで、その電話のためにテレカを購入して長距離長電話をするハメになった(新幹線ではトンネルに入るとケータイが切れるから)。三つ目は某出版社からで、これがまたトンネルに入るたびに切れて往生した。最後は、車中から送ったメールに対する返信メールだった。
 目的地が近付いてきたら、外は雨だった。仕方なく駅で800円の傘を買って仕事に備えた。ところが、この傘、仕事が終わるころには上がってしまい、飲み屋の傘立てに置き忘れた。ボケじゃ。え? 飲み屋だったら、仕事が終わるころじゃなくて、仕事が終わってからが正しいだろうって? 突っ込みはやめとくれ。飲み屋へ行くのも仕事のうちなのよ。

4月15日(月)「東奔西走・・・の風さん」
 新入会員があったので、日本インターネット歴史作家協会のメーリングリストが連日賑やかである。1ヵ月後には、冒険作家クラブのパーティを利用した間借りオフ会もある。できれば出席したい。
 執筆が進んでいなくても新鷹会の勉強会には顔を出す。ここが自分の小説家としての原点だからだ。6月の勉強会は、故長谷川伸先生のお宅で開催されるという。そこは、昔の勉強会の舞台で、大御所が綺羅星のごとく集まり、厳しい中にも長谷川先生の慈愛に満ちた薫陶を受けたという。その衣鉢を継ぐ弟子や孫弟子によって、今の新鷹会は50年以上の命脈をつないでいるのだ。
 勉強会が終了したとき、私を含む数人の会員に対し、理事就任の要請があった。もちろん拒む理由はない。が、私などが財団法人新鷹会のどれだけ力になれるのか、これからの活躍にかかっているのは間違いない。その期待と激励が理事就任へ込められているのだ。
 帰宅したら、速筆作家から第8章が届いていた。いよいよ大詰めらしい。

4月18日(木)「猫も逃げまどうゴキ駆除マシンの巻」
 
超音波でゴキブリやネズミを駆除する装置を購入した。超音波を発して反射させながら広がるので、70坪くらいの面積に効果があるという。建坪は70坪ないけど、2階屋で入り組んでいる我が家など、はたしてどこまで効果があるのだろうか。そして、人やペットには無害とは書いてあるが、本当に大丈夫か、いろいろ心配な点はある。
 さっそくゴキの発生密度が高い台所へ設置してみた。スイッチ・オンして、いきなり異常が発生した。我が家のペット、猫のシルバーが目を丸くし、首を振りながら音源に対し警戒心を示す。さらに、恐怖か不快感か、尻尾をふるわせながら逃げ出したのである。人間には聞こえない超音波(数十キロヘルツか)でも、猫には聞こえるのだろう。少し意外ではあった。
 しかし、ペットには無害、と書いてあったぞ。本当かな。ネズミには駆除効果があるというけど、ハムスターに対しては無害なのだろうか。疑問は超音波のように周囲に広がっていく。

 気まぐれ日記 02年5月へつづく